――ベランダとカーポート下、二つの光の実験。
🌱 前回の続き。
葉の縁が黒くなってから一週間。
黒変の進行は止まり、新しく出た葉の黒い部分も少なくなってきた。
ベランダのフェンス寄りに移して、光をやわらげたのが良かったみたい。
強い日射の中でも少しずつ緑が戻ってきて、株が落ち着いたのを感じた。
それでも、昼と夜の温度差はまだ大きい。
夜の冷え込みが強くなってきた頃、去年の「カーポート下」での育ち方を思い出した。
あの時の株は、もっと穏やかに、ゆっくりと育っていた気がする。
環境を分けてみることにした。

今朝、いくつかの鉢をカーポート下へ移した。
全部ではなく、品種ごとに少しずつ。
越後姫はすべてカーポート下へ。
よつぼしと紅ほっぺは、元気な株をベランダに残し、黒変が残っていた株だけを移動した。
南向きベランダでは明るく乾きやすい空気の中で、カーポート下ではやわらかい光と安定した温度の中で。
同じ朝の水やりでも、光と風の条件が違うだけで、いちごたちの表情がまるで違う。
それぞれの場所で。
ベランダの株は、葉色が濃く、茎もまっすぐ立っている。
光をしっかり受けて、日中の気温の上がり方に負けない力強さがある。
カーポート下の株は、光がやわらかい分だけ落ち着いて見える。
強い日射に焼かれることもなく、葉の張りがふっくらしてきた。
触ると少ししっとりしていて、鉢の中の空気が静か。
どちらも悪くない。
ただ、成長のリズムがまったく違う。
早く伸びる株と、ゆっくり根を張る株。
どちらが正しいということではなく、環境が変われば“ちょうどいいスピード”も変わるのだと知った。
これからの季節へ。
気温が下がり始めた今、一日のうちで“光が強すぎない時間”が長くなってきた。
この先、ベランダの株も、やがて穏やかな光に包まれる。
だから、どちらの環境もこのままでいくことにした。
環境を比べながら観察していくことで、来年の植え付け時期や置き場所のヒントが見つかるかもしれない。
植物の育ち方は、その年の光や風によって少しずつ違う。
それを知るのは、失敗でも成功でもなく、ただの「記録」。
でもその積み重ねが、次の季節を少しやさしくしてくれる気がする。
🍃 観察を続ける。
今回の変化を通して思ったのは、「見ている時間」こそがいちばんの手入れだということ。
黒くなった葉も、回復してきた新芽も、そのひとつひとつがベランダからの小さなサイン。
焦らず、比べながら、また少しずつ育てていこうと思う。
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▶ 前回の記事:秋のいちご、葉の縁が黒くなった日。